Socius  ソキウス   著作+制作 野村一夫
 http://socius.jp 

現在地 ソキウス(トップ)>社会学名言集

社会学名言集

だれのための専門性

 いずれにせよ、『専門家の権力』や『専門的能力』の独占が、社会学の領域以上に危険で許しがたい領域はおそらくない。いわんや、社会学が専門家だけに任された専門的知識でなくてはならないとしたら、それは一時間の苦労にも値しないだろう。
(ピエール・ブルデュー)

 拙著『社会学の作法・初級編』の冒頭にも引用しておいた、私の好きなフレーズです。出典は、ピエール・ブルデュー『社会学の社会学』田原音和監訳(藤原書店一九九一年)七ページ。ただし、句読点を若干修正しました。

 ブルデューの本はとてもむずかしく、私も自信をもって解説するなどということはとてもできません。けれども、『社会学の社会学』はインタビューが中心ですので、格段に読みやすく、また内容も社会学入門的なものなので、ビギナーにもおすすめです。

 ブルデューの立場は「自己反省の社会学」です。その点ではグルドナーより徹底しています。というのは、グルドナーの反省社会学は「エスタブリッシュな社会学の批判」という文脈がかなり強いのですが、ブルデューはまさにそれが社会学の社会学らしいところと見て、アカデミックな知そのものに対抗させているように思えるからです。

 ま、深追いはやめておきましょう。墓穴を掘るだけですから。要するに、引用したフレーズでかれがいいたいのは、社会学の専門性がけっして一部の専門家集団の専有物であってはならないということであり、社会学に携わる人がそのことにたえず留意しなければならないということだと思います。これは現実的にはけっこう困難な論点なんです。とくに若い研究者にはむずかしい。なぜなら大学世界に属する「一部の専門家集団」に承認されないかぎり、研究者としての自立を果たせないからです。では年季の入った研究者はどうかというと、いろいろあってやはりむずかしい。でも、こういう悩ましさを抱えていくこと自体が大切なので、けっしてスッキリしてしまってはいけないのだと私は感じています。

 反省の回路のひとつのルートはおそらく広義における社会学教育の文脈だと思います。それについては『社会学の作法・初級編』の「社会学的リテラシーの構築へ」の章と「無作法なあとがき」をご覧ください。また、もうひとつの有力なルートは社会学的時代診断の文脈だと思います。これについては『社会学感覚』の「6-3 時代診断の学としての社会学 」をご参照ください。

1997年執筆・公開

Prev←→Next

現在地 ソキウス(トップ)>社会学名言集
SOCIUS.JPドメインへの初出 1/5(Wed), 2005  
このページのURLは http://
Kazuo Nomura(野村一夫) 無断転載はご遠慮ください。リンクはご自由に。
Valid XHTML 1.0!Document type: XHTML 1.0 Transitional