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ビーケーワン書評コラム

ミックス定点観測

[16]ハリウッド映画にカルスタを応用してみたら(2001.9.9)

映画でわかるカルチュラル・スタディーズ(Cine lesson 別冊)
著者:カーラ・フレチェロウ著,他
出版:フィルムアート社
発行年月:2001.7
本体価格:\2,200


 インテリジェントな映画ファンのためのシネレッスン・シリーズの最新刊です。このシリーズ、どれも切り口がなかなかよいですね。今回の本は原題が "Popular Culture" で1999年刊行のものの翻訳です。日本語タイトルにあるように、カルチュラル・スタディーズの見地からハリウッド映画を中心にアメリカのポップカルチャーを論じたもので、もともとは大学の講義用コンテンツだったようです。

 カルスタはイギリス系ですから、それが必ずしもアメリカ文化にすんなり適用できるかというと、それほど簡単ではないとのことですが、フレチェロウは「どこからこういう言説をもってくるのか」と思うようなことをさらっと述べて、なかなか見事にカルスタしています。

 素材として取り上げられているのは、連続殺人事件をあつかった『殺しのドレス』『羊たちの沈黙』『氷の微笑』やSF作品『ブレードランナー』『ニューロマンサー』『エイリアン』そしてマドンナといったおなじみのものです。『ザ・ギルダ・ストーリーズ』『パリ、夜は眠らない』『ドゥ・ザ・ライト・シング』のように、あまりおなじみでないものもあります。

 これらをフレチェロウは、ジェンダー・植民地主義(コロニアリズム)・セクシュアリティの観点から読み込んでいきます。全体的にはセクシュアリティについての突っ込みが多いように思いますが、そのあたりもカルスタのテイストということなのでしょう。

 最後に『エイリアン』三部作(当時)が読解されます。フレチェロウによると、ホラーはセクシュアリティの恐怖が語られることが多く、SFは政治問題をテーマにするということらしいので、両者のミックスである『エイリアン』はかなり含蓄のある(つまり分析しがいのある)作品としてあつかわれています。三作がごっちゃになっている私にはそれが的確なものなのかどうか判断がつきかねますが、これを頭においてDVDでも観れば、あまたある怖いシーンも冷静に見届けられるかもしれません。 (2001.9.9.野村一夫)

【目次】 01 ポピュラー・カルチャーを読む 02 カルチュラル・スタディーズの方法 03 セクシュアル・サブカルチャー 04 ポストコロニアリズムの展開 05 マルチカルチュラリズムの移住者たち 06 テクノカルチャーとポストモダニズム 用語解説
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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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