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ビーケーワン書評コラム

ミックス定点観測

[11]美的生活とトンネル会社、あるいはエッチの起源(2001.6.4)

20世紀のことばの年表
著者:加藤 迪男編
出版:東京堂出版
発行年月:2001.5
本体価格:\2,400


 百年前の1901年に高山樗牛(たかやま・ちょぎゅう)が『太陽』に書いた論文がもとで「美的生活」ということばがはやったそうです。樗牛のいう「美的生活」は、自分の世界に没頭することですが、当時の学生たちが金がなくて下宿にじっと引きこもっている状態を指すことばとして使われたとのこと。要するに「引きこもり」ですね。ナイーブな若者は昔からこもりがちだったようです。

 最近は「自分的には」なんて使い方さえしてしまう「的」は1906年に流行して定着した言い方であるとか、1909年にはやったハイカラソングに対して野蛮な「バンカラ」ということばが生まれたとか、そんな蘊蓄が年表風に満載されている本です。衛生劇(1916)、イージー(1919)、ジリ貧(1923)、オギノ式(1927)、日の丸弁当(1939)、バスに乗り遅れるな(1940)、トンネル会社(1943)・・・戦前は戦前でおもしろいですね。「トンネル会社」って統制経済の産物らしいんですが、このことだけでも、いわゆる「1941年体制」説なんかを支持したくなりますね。あと、最近ケータイに跋扈していた「幸福の手紙」は、なんと1930年にはやったそうです。私にとって最大のナゾだった「エッチ」は1952年に舟橋聖一の新聞小説で使われたのが最初で、HENTAIのHに由来するようで。なるほど舟橋聖一かあ。

 本書は、最近はやりの死語辞典のひとつと言えますが、ひとつひとつ丁寧に出所を示しているところがなかなかいいです。とくに流行のきっかけになったメディアが特定されているので、その時代のメディア状況が想像できます。また、いろんな立場で歴史を作りうるということを実感できるのも意図しない効果としてあります。  で、「ダメおやじ」がどうして1951年なのかなあ。ちょっとナゾ。 (2001.6.4.野村一夫)

【目次】
ことばの発生と種類
 1 新語と流行語
 2 新語・流行語の発生原因
 3 ことばをつくる
 4 新語・流行語の種類
20世紀の年次別新語・流行語


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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