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ビーケーワン書評コラム

ミックス定点観測

[6]メディア構想の150年を集成する(2001.5.14)

原典メディア環境
著者:月尾 嘉男編,他
出版:東京大学出版会
発行年月:2001.4
本体価格:\10,000


 725ページで本体価格1万円のすごい本です。これはここ150年間に書かれたメディアについての重要な言説をコレクションしたものです。こういう編集本は拾い読みが楽しい。141本の文書抜粋と短い解説に加えて時代区分ごとに計8つの動向の解説がついています。

 たとえば1846年の「イギリス海峡に海底ケーブル敷設」に関する『英国における海底ケーブル百年史』の記事。マクルーハンのグローバル・ビレッジ(地球村)概念のもとになったと言われるホーソーン(『緋文字』で有名)の小説の一部。1854年、ペリー艦隊による電信機の実演の模様。郵便も電信も、そしてさまざまなメディアがいっせいに走り出している様子がよくわかります。

 コレクションは、組織や法律の制定に関するもの、技術的な論文や回想、メディア論的分析、先見的な小説、ヒトラーやゲッベルスのメディア戦略、先駆的なアイデアなどによって編集されています。

 私が個人的にうれしかったのは、世界最初のデジタル・コンピュータの認定に関する「アタナソフ判決文」が収められていたことです。一般に世界最初のコンピュータは1946年のENIACだといわれていますが、じっさいには1940年前後にアタナソフがアイオワ州立大学で開発していたABCの方が先で、それがENIACの開発者に影響を与えたことを公式に認めた判決です。メディア史ではきわめて重要なところですが、このあたりの事情がよくわからず気になっていました。

 また、WWWを開発したバーナーズ・リーが自分たちのハイパーテキスト・プロジェクトにWorld Wide Webという名前を与えたいきさつを語った一文も訳されています。ひょっとするとWWWはMeshとかMOIとかTIMだった可能性もあったのですね。(2001.5.14.nom)


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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