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ビーケーワン書評コラム

ソックス定点観測

[15]新世紀を切り開くマクドナルド化(2001.7.4)

マクドナルド化の世界
著者:ジョージ・リッツア著,他
出版:早稲田大学出版部
発行年月:2001.5
本体価格:\3,000


 1970年代はじめ、日本に上陸したマクドナルド。猫バーガー説にもめげず、高校生の私はおいしく食べていましたが、大学生になっていくつかのノンフィクションを読み出したときビックリしたのが斉藤茂男の『聖家族――おおハッピーライフ!』でした。ここには労働現場としてのマクドナルドの画期性が「マニュアル化」という括りで描かれていました。たしか、それまでマニュアル化できないと言われてきた接客業務を詳細にマニュアル化し、高校生のアルバイト店員(もっとも低賃金)で十分やっていけるようにしたところが前代未聞だということでしたね。

 ジョージ・リッツアの前著『マクドナルド化する社会』が訳されたときに、まず思い出したのがこのことでした。リッツアはもともと理論社会学系の人でして、かつて社会学史の授業を担当したとき、ネタ本としてリッツアの『社会学理論』など数冊(シリーズになっていました)を使ったことがありました。かれはたんなる学史屋さんではなく、メタ理論に研究の焦点があって、従来の社会学理論をそれで統合しようとしているようでした。それだけに美しく整理されていましたよ。まあ、相当な「まとめ屋さん」であることはたしかでしょう。

 前著『マクドナルド化する社会』は、そういう側面がよくあらわれていて、「マクドナルド化入門」から始まって、効率性、計算可能性、予測可能性、制御、合理性の非合理性といった、かっちりした章タイトルで構成されていました。マックス・ウェーバー合理化論の正当な継承者といった感じでした。

 今回の続編は前回とほぼ同じ厚みの、しかも似た装丁ですので、リアル書店では買いまちがいが続出しそうです(だからオンライン書店で買いましょう!)。

 ところが、内容はずいぶんちがっています。こういう続編のまとめ方はオシャレです。前半には、ウェーバーよりマンハイムの方が使えるぞという章や、社会学のマクドナルド化を論じた章があり、後半には「マックディズニー化」やマック大学が批判的に論じられています。なかでも「社会学のマクドナルド化」にはおそれいりました。かれはグールドナーの後継者でもあったようです。さしずめ、この「定点観測」なんかも、社会学のマクドナルド化なんでしょうね。かれはこう述べています。 「マクドナルド化の普及と影響力からすると、社会学のマクドナルド化というより大きな過程のなかで、社会学者は単なるおもちゃに成り下がる危険性があるのだ」(87ページ) (2001.7.4.野村一夫)

【目次】
一章 序論
二章 マンハイムの合理化論
三章 アメリカ社会学のマクドナルド化
四章 ミュンヒによる社会理論のマクドナルド(化)の解題
五章 マック職
六章 マクドナルド化
七章 グローバル化、マクドナルド化、アメリカ化
八章 クレジットカード、ファーストフード・レストラン、合理性の増強
九章 「新しい」消費手段
一〇章 「マックディズニー化」と「ポストツーリズム」
一一章 ポストモダンの消費社会におけるマック大学
一二章 新しい消費手段に対処すること
一三章 マクドナルド化についての結論的考察


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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