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ビーケーワン書評コラム

ソックス定点観測

[12]デジタル・ネットワーキングは公共圏を再生するか(2001.6.3)

公共圏の社会学
著者:干川 剛史著
出版:法律文化社
発行年月:2001.4
本体価格:\2,500


 ハーバーマス以来の公共圏論に即して現代のネットワーク・コミュニケーションを読み解く社会学的研究としては、2000年7月に出た吉田純さんの『インターネット空間の社会学』(世界思想社)があります。吉田さんのが理論的色彩の濃い議論だったのに対して、今回の干川さんの『公共圏の社会学』は、デジタル・ネットワーキングに焦点を絞って、その活動の内部から公共圏の可能性を探ったものになっています。これまで干川さんの論文を読みながら、早く一冊にまとまらないかと思っていた本でした。

 さて、ネットワーキングという概念は誤解されやすいのですが、手短に言えば市民活動とか市民運動のことです。したがってデジタル・ネットワーキングは、インターネットなどを駆使して市民運動を展開する一連の活動のことを指しています。「NPOとITのハイブリッド」とでも申しましょうか。

 本書では、1990年代に地球規模で展開されることになった「APCネットワーク」の流れを受けて成立した情報支援NGO「JCA(Japan Computer Access)」の活動、阪神淡路大震災がきっかけになってつくられた「Inter C net」などの活動を紹介するとともに、とくに災害救援のためのデジタル・ネットワーキングの実態について考察を加えています。

 冷笑的な批判的言説ばかりで、意外にポジティブな議論が少ない「公共圏の社会学」についての基本書的存在になるでしょう。とくに第1章の「公共圏再考」は、これまでの研究の経緯がよく整理されていて、公共圏論への導入的解説として使えると思いました。 (2001.6.3.野村一夫)

【目次】
序論
第1章 公共圏再考
第2章 メディア論としての公共圏論からデジタル・ネットワーキング論としての公共圏論に向けて
第3章 公共圏の情報流通・実践活動基盤としてのデジタル・ネットワーキングの展開
第4章 デジタル・ネットワーキングによる公共圏の再構築に向けての課題


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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