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ビーケーワン書評コラム

ソックス定点観測

[10]犯罪学的想像力を培うために(2001.5.23)

犯罪学への招待 第2版
著者:守山 正著,他
出版:日本評論社
発行年月:2001.4
本体価格:\2,500


 社会学理論がかなり利用されながらも、じっさいには法学系の先生たちが研究している分野に犯罪学があります。もちろん「犯罪社会学」となればれっきとした社会学ですが、社会学プロパーでは「犯罪」という法律的概念よりも「逸脱」という社会学的概念に傾いていくものなので「逸脱の社会学」になってしまうのです。というわけで「犯罪学」は主として法学系になるのでしょうね。でも、本書を拾い読みしてみると、たとえば「法社会学」なんかよりも、いっそう社会学的な議論がおこなわれていることがわかります。本書で提唱されている「犯罪学的想像力」というのも、社会学徒からはとても理解しやすい考え方だと思います。

 犯罪って、思いこみの錯綜する現象です。被害者、犯罪者、警察、司法、野次馬、メディアがそれぞれの思いこみで犯罪を語ります。その分、あやまった常識や通念がなかなか払拭できないものです。昔の犯罪学は司法当局の視点もろだしで、およそ社会学とは異質なものでしたが(ま、社会学の方が異質なんでしょうね)、この本を眺めているかぎり、最近の犯罪学はかなり社会学化していると言えそうです。ホワイトカラーの犯罪やジェンダーへの目配りも忘れず、被害者学的展開について詳しく説明しています。

 一方では犯罪を楽しむことに自戒しつつ、他方では「作品としての犯罪」「刑罰は儲かるか」といった意表をつくアプローチを見せてくれる『犯罪学への招待』、なかなか微妙なバランスをたもった、アイロニーあふれた招待状になっています。(2001.5.23.nom)


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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