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ビーケーワン書評コラム

ソックス定点観測

[8]国際結婚は日本産である(2001.5.19)

国際結婚の誕生
著者:嘉本 伊都子著
出版:新曜社
発行年月:2001.4
本体価格:\3,800


 あいかわらず国民国家論が盛んだ。たとえば私たちが自分たちを「日本人」として定義することは、じつはそれなりの複雑な歴史的経緯があってのことで、その経緯は政治的意図によって構築されているものだと、国民国家論は説明します。もちろん、政治的な意図通りに事が進むわけではありませんが、そのなりゆきはしばしば恣意的で、けっして自明のものではありません。

 そんな国民国家論も、最近は総論的なものではなく、個別事象に即した研究が次つぎに発表されています。本書はそれを「国際結婚」に即して研究したもので、もともとは博士論文です。しかし、拾い読みしたかぎりでは、たいへん読みやすい説明になっています。

 基本命題は「『国際結婚』は、日本産である」ということです。

「国際結婚」に対応することばって、他の国にはないそうですね。たとえば西洋社会では、人種や民族・宗教・文化・エスニシティの境界線の方が重要で、どこの国民であるかということは、それらに対して二次的だったとのこと。ところが、日本の場合は国籍という境界線が他の境界線を圧倒してきました。そう、「日本人」という境界線が重要であるということを明確にあらわすことばが「国際結婚」なのです。

 その意味では、本書は、評判だった小熊英二『〈日本人〉の境界』とあわせて読まれると、いっそう理解が深まるかもしれません。注目の歴史社会学です。

(2001.5.19.nom)


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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