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ビーケーワン書評コラム

エディター書評2000-2001年

「メディア目線」で見ていますか?

桜井秀勲著『ヒロスエが藤原紀香に勝てなかった理由――アニムス型女性が社会を変える』東洋経済新報社 1400円
367.21 00040400 4-492-04139-7


 メディア目線というものがある。メディア業界の人びとが特定の商品やトレンドやキャラクターをながめるときの「まなざし」だ。それは売れるのか、若い女性から嫌われてないか、大きな鉱脈を掘り当てられないかと考える。それは潜水艦のソナーのように時代の反応を聞き当てようとする。

 そこまでは単純だ。

 しかし、普通の人たち自身が業界のメディア目線をとるようになった現代においては、事態はじつに劇的に動く。「オレ的にはヒロスエのほのかなエロスに惹かれるんだけど、やっぱこれからはキッパリ主張する紀香だな」と、普通の人たちがメディア目線で反応することで人気の振り子が大きく動いてしまう。

 圧倒的人気だったヒロスエが早稲田入学を期に一気に低落し、主張する藤原紀香がCMクイーンに躍り出る。この劇的な人気の転換は人びとの志向の変化以上のものだろう。それだけに先を読むのは難しい。

 著者の桜井氏は若くして『女性自身』を100万部雑誌に育て上げた名編集者。かれはヒロスエと紀香に「世の中の二極分化傾向」を読みとる。そしてあきらかに理想的女性像は紀香のようなアニムス型(男の魂をもった女性)に転換したと主張する。その状況証拠がつぎつぎに提示されると、グーの音もでない。メディアの人はよく見てると感心する。

 その意味では、本書は21世紀にサバイバルしたい男たちのための指南書である。では、そんなこと先刻ご承知の女たちにとっては? ――メディア目線の自画像を粉砕するための合わせ鏡として、本書はとびきり役立つはずである。


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SOCIUS.JPドメインへの初出 7/20(thu), 2002  
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