トランスメディアワーカー序論

現代の情報環境は、たんにメディア環境なのではありません。情報が多様なメディアによって玉突きをしている複合的な状態になっています。これを私は「トランスメディア環境」と呼んでいます。この状態にあっては、どこが発生源だとしても、情報は自動的に転がっていきます。ある情報は過剰に、ある情報はあたかも存在しないかのように、関与するメディアや人間の思惑とは関係なく、増幅されて伝わっていきます。その情報の責任主体はいったい誰でどの組織なのか、もう誰にもわからなくなっていきます。その中で、どのように考え、どのように人や組織やお金や信頼をつないでいくか。働く人の視点で考えてみましょう。

1. つなぐ仕事

「つなぐ仕事」とは何でしょう。
 じつは、経済学部のような中間的な学部には重要なミッションがあるのです。それは明確に言われることが少なく、ほとんど強調されていません。一言で言うと「つなぐ仕事」です。
 では、何をつなぐのかというと、5種類のことがらです。人、物、組織、情報、お金。
 たとえば、営業職というのがあります。一般に「営業」と呼びます。これは何をするのかというと、会社と会社をつないだり、会社とお客さんをつないだり、お客さんと職人さん(または専門職)をつないだり、情報とお金をつないだりします。組み合わせはいろいろです。たとえばプロジェクトとかコーディネイトとかイベントなどと呼ばれる出来事を企画して、さまざまな人・物・組織・情報・お金をつなぐのです。「つなぐだけ」と思うかもしれませんが「つなぐ人」がいなければ「飛騨の職人さん」も「一級建築士」も「コピーライター」も「カメラマン」も「アーチスト」も仕事になりません。この複雑な社会の中で、それらの人たちを出会わせる人たちが必要なのです。ちゃんと適切に「つなぐ人」が、無縁な職人さんや専門職の人びとを創造的なネットワークに組み入れるのです。これはこれで「片手間」ではできません。「つなぐ人」に必要なのは、これらに関するほどほどの専門知識とビジネス志向と教養と都会的センスです。 ここをわかってないと経済学部に入ってから目標を失います。

2. コミュニケーション

コミュニケーションの水準
1 身ぶり会話
2 言語コミュニケーション
3 メディアコミュニケーション
わたしたちのコミュニケーションは質的に大きく異なる三つの水準として分析することができる。
第一水準は「身ぶりに媒介された相互作用」
第二水準は「記号に媒介された相互作用」
第三水準は「メディアに媒介された相互作用」である。
ちなみに「相互作用」(interaction)は「相互行為」とも訳される。
3水準の同時進行

3. メディアの歴史とコミュニケーションの拡張

1 話し言葉
2 書き言葉BC4000
3 印刷1455
4 テレコミュニケーション
   電信1844
   電話1876
   写真と映画とレコード
   ラジオ1920
   テレビ1941
5 コンピュータ
   デバイスの多様化 ENIAC、メインフレーム、パソコン、スマートフォン、さらに
   ツールと人工知能 道具か相棒か
6 トランスメディア
   メディアミックスからトランスメディアへ
   コラボレーション、領域融合、IoT(モノのインターネット)
   「いろんなものごとがつながる」がキーコンセプト

4. コミュニケーションの理想

「等質性のユートピア」なかよし共同体。

「理性的主体のユートピア」それは「文化規範を異にする者同士が、相互の異質性を前提としながら、話しあいと再調整をくり返すことによって日々更新されていく、そうした社会関係」をめざす。その担い手は科学者のように理性的な態度をとる人びとである。

5.メディアのレイヤー

基本的な世界観: 世界には多層なレイヤーが重なっている。
コミュニケーションも3層が同時に作動している。
さらにメディア・コミュニケーションの現場も多層なレイヤーから構成されている。
メディアが身ぶりの一つとしてコミュニケーションの内容を規定している。
1ミクロメディア(情報レベルとコンテンツレベル)
 言葉、言説(ディスクール)、記号、ファッション、作品、
2メゾメディア(コンテキストレベル)
 空間系、建築物、都市空間、イベント、ネットコミュニティ、SNS、カラオケルーム
3マクロメディア(文化レベル、経済圏レベル、越境するトランスナショナルアクター)
 マスメディア、プラットフォーム、組織ネットワーク、

6. メディアコミュニケーションの複雑性

各レイヤーごとの相互作用とレイヤー単位の相互作用
●トランスメディア環境における能動と受動はレイヤーごとに変化する。
操作する、操作される
働く、働かされる
遊ぶ、遊ばれる
学ぶ、学ばせられる
つながる・つなぐ
作る、作られる
介入する、介入される
プロデュースする、プロデュースされる
抵抗する、抵抗される
批判する、批判される
●つなぐ仕事
大学入門 職業直結型でもなく研究直結型でもない。中間的な学部。
つなぐ仕事

7. 本日のForms